サンティアゴへの道

レオンの案内所

今年もポケモン・スタンプラリーが始まったようだ。夏休みなんだからしかたないけど、猛暑の中、子どもにお供して駅を回る親御さんはほんとに大変だろう。うちの子が小さい時は、インドアでのゲーム専門だったので助かった。

しかし、スタンプラリーというものは、大変であればあるほど、その達成感は大きいよね。親子ともに歩いた時間も、苦労が多いほど後で貴重な記憶になるかもしれないでしょ。ポケモンといえど、あなどれない。一種の「巡礼」のようなものだと思う。

今日「巡礼コメディ旅日記 - 僕のサンティアゴ巡礼の道」(☆1)という本を読みおえた。著者のハーペイ・カーケティングは、ドイツではとても有名なコメディアン。キャリア途中での病気などもあり、この巡礼を思い立って約800kmの道を踏破した。ドイツでは、発刊翌年に巡礼者が倍増した大ベストセラーらしい。さすがコメディアンなので、旅日記そのものが笑えるエピソードに満ちている。しかしそれだけかと思っていると、思わずはっとさせられる、示唆に富んだ本だった。

巡礼者は、最終的にみな同じ到達点のサンティアゴ・デ・コンポステラ(☆2)にやってくる。でもその迎えられかたは人によって違う。それは、巡礼者ひとりひとり、体験したことや得たもの違うということだ。神のような光につつまれたという人もいれば、新しい自分を見いだす人もいる。一方で、苦難の末にリタイアを余儀なくされた人だって沢山いるのだ。

それでは、なぜ人は巡礼の旅に出るのか? 
やはり何かが呼んでいるからだ。

ハーペイさん自身はといえば、この本に書いてあるように、一連の奇跡的な体験を通じて、しっかりとあるひとつの答えを得たようだ。はっきりとは記されていないけれど、彼は神と出会うための「ボタン」のようなものだけは手にした。そして、自分の心が正しいポジションにチューニングされていれば、いつだって、この世界の神秘はその姿を現すと語っている。

これは聞きのがせない話だ。
僕たちが日常生活の雑念の中で見失っている、それ。
過酷な試練の道だけが、それをそっと見せてくれる。

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☆1:巡礼コメディ旅日記 - 僕のサンティアゴ巡礼の道
ICHI BIN DANN MAL WEG - Meine Reise auf dem Jakobsweg
なぜか朝日新聞GLOBEのドイツの書評欄で知りました。

☆2:コンポステラというのは、( Campus Stella)星の広場という意味。
諸説あるようですが、この本では「この巡礼の道が、天の川と並行して進んでいるから」という説を紹介しています。いやー素敵ですね。下のYouTube動画は、ハーペイさんご本人からのメッセージです!




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